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乳歯の歯並びが悪いのは治さなくていい?歯科医が伝える様子見の落とし穴

2026年7月8日

お子さんの乳歯の歯並びが悪い、斜めに生えていると気づいたとき、心配になる保護者様は多いと思います。インターネットで調べると、乳歯の歯並びは様子を見て大丈夫、永久歯に生え変わるまで待ちましょうという情報をよく目にします。

確かに、乳歯の歯並びの多くは、成長とともに自然に整っていきます。しかし、歯科医師として、乳歯の歯並びは治さなくてよい、心配しなくてよいという考えに、あまり賛成はしません。ケースによっては、早期の介入が必要だと考えています。

この記事では、札幌市西区の「みかみ歯科医院」が、乳歯の歯並びについて、様子見でよいケースと、早期介入が必要なケース、そして様子見の落とし穴について、歯科医師の目線から詳しく解説します。

乳歯の歯並びが悪い・斜めは様子見でいい?

まずは、乳歯の歯並びについての基本的な考え方をお伝えします。

斜め・すきっ歯は問題ないことが多い

乳歯の前歯が斜めに生えてきた、ハの字に生えてきたというとき、その多くは顎の成長に伴って正しい向きへと変わっていきます。

また、乳歯の歯と歯の間に隙間がある、いわゆるすきっ歯の状態は、乳歯の場合はむしろ良い状態とされています。これは、後から生えてくる永久歯が乳歯よりも大きいため、隙間がないと永久歯が並ぶスペースが足りなくなってしまうからです。

このように、乳歯が斜めに生えている、すきっ歯であるといった状態は、多くの場合は心配しすぎる必要はありません。

でも様子見でよいに手放しで賛成はしない

しかし、乳歯の歯並びは治さなくてよい、Ⅰ期治療は意味がない、すべて永久歯に生え変わるまで様子をみましょうという考えをお持ちの歯科医院もありますが、当院ではケースによっては、早期の介入が必要だと考えます。

すべてを様子見にしてしまうと、後で治療が難しくなったり、長期間に及んだりすることがあります。乳歯の段階だからこそ、注意深く見てあげるべきポイントがあるのです。

乳歯の真下から100%永久歯が生えるわけではない

ここで、多くの保護者様が誤解されやすい点をお伝えします。

乳歯の真下、直下から100%永久歯が萌出するわけではありません。そのため、乳歯列をきれいに治療したのに、あるいは乳歯のときは歯並びがきれいだったのに、永久歯の歯並びが悪くなったという保護者様の話を耳にすることがありますが、これは当然のことなのです。

乳歯の歯並びがきれいだからといって、永久歯の歯並びがきれいになるとは限りません。逆に、乳歯の歯並びが少し気になっても、永久歯できれいになることもあります。だからこそ、乳歯の歯並びそのものよりも、大切にすべきことがあるのです。

乳歯期は良くない習慣がつかないよう導く時期

では、乳歯の時期に本当に大切なことは何でしょうか。

歯並びをきれいにするより習慣が大事

乳歯の場合は、その歯並びをきれいにするというよりは、良くない習慣がつかないように導くことが大事な時期です。

前述の通り、乳歯の歯並びは永久歯の歯並びに直結するわけではありません。そのため、乳歯を無理に並べることよりも、歯並びを悪くする原因となる良くない習慣を早めに見つけて、改善していくことのほうが、はるかに重要なのです。

悪い習慣が悪いループを生む

良くない習慣は、良くないループを生んでいきます。

たとえば、指しゃぶりをして出っ歯になったのを放置すると、今度は下くちびるを巻き込むようになります。下唇を巻き込むと、下顎を後方に押し込んでしまうようになり、顎の成長にもよくありません。さらに、それが姿勢の悪さにもつながっていきます。

このように、一つの良くない習慣が、次の良くない状態を呼び、悪循環に陥っていくのです。だからこそ、乳歯の時期に、良くない習慣がつかないように導くことが大切なのです。

鼻づまりの子に口を閉じなさいは酷なしつけ

ただし、良くない習慣を改善するときには、お子さんの状態をよく見てあげる必要があります。

たとえば、乳歯の時期に、すでにひどい鼻づまりがあるお子さんに、口を閉じなさいとしつけることは、厳しすぎるしつけになってしまわないでしょうか。鼻がつまっていて鼻で息ができないのに、口を閉じることを強制されるのは、お子さんにとってとても苦しいことです。これでは、親子のストレスになってしまいます。

そのお子さんにとって、今できることは何かを考えてあげることが、この大事な時期には求められます。ただ癖をやめさせるのではなく、なぜその状態になっているのか、その背景に目を向けることが大切です。

様子見が放置になってしまうケース

様子見という言葉には、注意すべき落とし穴があります。

反対咬合など骨格的な問題が大きくなる

症例によっては、すべて永久歯になるまで様子をみましょうということが、結果的に放置してしまったことになり、治療が難しくなったり、長期間に及んだりする場合があります。

特に、反対咬合、いわゆる受け口などでは、様子を見ているうちに骨格的な問題が大きくなってしまい、手術をしないと改善できない歯並びになってしまうこともあります。骨格の問題は、成長とともに大きくなっていくため、早い段階での対応が重要なのです。

手術が必要になることも

早い段階で介入していれば、比較的優しい方法で改善できたものが、様子見によってタイミングを逃してしまうと、成長後には外科手術が必要になることもあります。

外科手術は、全身麻酔下で行われ、入院も必要となり、患者様の負担も大きくなります。できれば避けたいものです。適切な時期に適切な対応をすることで、こうした大掛かりな治療を避けられる可能性が高まります。

かみづらい・食べづらいが成長を妨げる

歯並びや噛み合わせの問題は、見た目だけの問題ではありません。

不正咬合によって噛みづらいことが、食べづらいことにつながり、お子さんの健やかな成長を邪魔してしまうかもしれません。しっかり噛んで食べられないと、栄養の吸収にも影響し、顎の発達も妨げられます。乳歯の時期の噛み合わせの問題は、成長全体に関わる大切な問題なのです。

乳歯を大切にすることが将来の選択肢を増やす

近年、私が臨床の現場で感じていることをお伝えします。

先天性欠損(永久歯が少ない)が増えている

近年では、永久歯の数がもともと少ない、いわゆる先天性欠損といわれるケースが多いように感じます。

先天性欠損とは、生まれつき永久歯の一部が作られていない状態のことです。この場合、乳歯が抜けても、その下から永久歯が生えてこないため、歯並びや噛み合わせに大きな影響を与えます。

乳歯を虫歯にせず長く使えるようにサポート

永久歯が先天的に欠損しているようなケースでは、乳歯を虫歯にせず、長く使えるようにサポートしてあげることが非常に大切です。

そうすることで、将来の治療の選択肢が増えたり、治療が複雑にならずに済むことがたくさんあります。永久歯が生えてこない部分の乳歯を、できるだけ長く健康に保つことで、お子さんの将来の負担を減らすことができるのです。

このように、乳歯の時期は、単に歯並びを見るだけでなく、一本一本の乳歯を大切にし、将来を見据えたサポートをする大切な時期なのです。

様子をみましょうと言われたら

最後に、保護者様に知っておいていただきたい、大切なことをお伝えします。

いつまで様子をみるのかを明確に

もし、気になることを相談したときに、様子をみましょうと言われたら、いつまで様子をみるのかを明確にしましょう。

様子をみましょうという言葉は、便利な言葉ですが、いつまで見るのか、何を目安に判断するのかがはっきりしないと、気づいたときには手遅れになっていた、ということにもなりかねません。手遅れになってほしくないから相談しているのですから、いつまで、どのような状態になったら次のステップに進むのかを、はっきり確認しておくことが大切です。

信頼して通える医院に早く出会うことが大切

専門家である歯科医師に相談し、保護者様も、お子さん本人も、信頼して通える医院に早く出会えるようにすることが、幸せにつながると思っています。

真摯に答えてくれる先生に出会うことが、お子さんの健やかな成長を守る第一歩です。気になることがあれば遠慮なく質問し、納得できる説明をしてくれる歯科医師を見つけましょう。

当院の乳歯期へのアプローチ

札幌市西区の「みかみ歯科医院」では、乳歯の時期のお子さんに対して、丁寧なアプローチを心がけています。

習慣の改善(MFT)

当院では、歯並びを悪くする良くない習慣の改善をサポートしています。

指しゃぶり、下唇を巻き込む癖、口呼吸、舌の位置の問題などに対して、MFT(口腔筋機能療法)などを用いて、根本的な改善を目指します。良くない習慣を早めに改善することが、将来の歯並びを守ることにつながります。

必要に応じた早期介入

当院では、保田矯正という独自のアプローチで、必要に応じた早期介入を行っています。

反対咬合など、骨格的な問題が大きくなる前に対応すべきケースでは、お子さんの成長を利用した治療を行います。スケルトン拡大装置などの複数の装置を組み合わせることで、お子さん一人ひとりの状態に合わせた治療を提供しています。

まとめ:乳歯の歯並びは様子見の期限を明確にすることが大切

乳歯の歯並びが斜めであったり、すきっ歯であったりする場合の多くは、成長とともに自然に整っていきます。しかし、乳歯の歯並びは治さなくてよいという考えに、ケースによっては、早期の介入が必要だからです。

乳歯の時期は、歯並びをきれいにするというよりは、良くない習慣がつかないように導くことが大切な時期です。指しゃぶりや下唇を巻き込む癖などの悪い習慣は、悪いループを生んでいくため、早めの対応が必要です。

また、様子見が結果的に放置になり、反対咬合の骨格的な問題が大きくなって手術が必要になったり、治療が難しくなったりすることもあります。様子をみましょうと言われたら、いつまで様子をみるのかを必ず明確にしましょう。

札幌市西区の「みかみ歯科医院」では、乳歯の時期からお子さんに寄り添い、良くない習慣の改善や必要に応じた早期介入を行っています。お子さんの歯並びが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1: 乳歯の歯並びが悪いのは治さなくていいですか?

乳歯の歯並びが斜めであったり、すきっ歯であったりする場合の多くは、成長とともに自然に整っていくため、過度に心配する必要はありません。しかし、乳歯の歯並びは治さなくてよい、様子を見ればよいという考えに、あまり賛同はできません。。ケースによっては、早期の介入が必要だからです。特に、反対咬合などの骨格的な問題や、指しゃぶりなどの良くない習慣がある場合は、早めの対応が重要です。乳歯の時期は、歯並びそのものをきれいにするというよりも、良くない習慣がつかないように導くことが大切な時期です。気になることがあれば、一度歯科医院で相談することをおすすめします。

Q2: 乳歯が斜めに生えてきましたが大丈夫ですか?

乳歯の前歯が斜めに生えてきた、ハの字に生えてきたという場合、その多くは顎の成長に伴って正しい向きへと変わっていくため、過度に心配する必要はありません。乳歯の前歯に限っては、初めから真っ直ぐ生えてくる方が珍しいくらいです。ただし、斜めに生えている背景に、顎の大きさの問題や噛み合わせの問題が隠れていることもあります。また、乳歯の真下から100%永久歯が生えるわけではないため、乳歯がきれいでも永久歯の歯並びが悪くなることもあります。斜めの状態が気になる場合や、他にも気になる点がある場合は、定期的に歯科医院でチェックを受けておくと安心です。

Q3: 乳歯の歯並びがきれいなら永久歯もきれいになりますか?

必ずしもそうとは限りません。乳歯の真下、直下から100%永久歯が萌出するわけではないため、乳歯のときは歯並びがきれいだったのに、永久歯の歯並びが悪くなったというケースは決して珍しくありません。これは当然のことなのです。逆に、乳歯の歯並びが少し気になっても、永久歯できれいになることもあります。そのため、乳歯の歯並びそのものにこだわるよりも、歯並びを悪くする良くない習慣がついていないか、骨格的な問題がないかを見てあげることが大切です。定期的に歯科医院でチェックを受けることで、永久歯への生え変わりのタイミングも見逃さず、必要なときにベストなタイミングで治療を始めることができます。

Q4: 歯医者で様子をみましょうと言われました。このままでいいですか?

様子をみましょうと言われたら、いつまで様子をみるのかを明確にすることをおすすめします。様子をみましょうという言葉は便利ですが、いつまで見るのか、何を目安に判断するのかがはっきりしないと、気づいたときには治療が難しくなっていたということにもなりかねません。特に、反対咬合などの骨格的な問題は、様子を見ているうちに大きくなり、手術が必要になることもあります。手遅れになってほしくないから相談しているのですから、いつまで、どのような状態になったら次のステップに進むのかを、はっきり確認しておきましょう。そして、真摯に答えてくれる、信頼して通える歯科医師に出会うことが、お子さんの健やかな成長を守る第一歩です。

Q5: 永久歯がもともと少ない先天性欠損と言われました。どうすればいいですか?

近年、永久歯の数がもともと少ない、いわゆる先天性欠損といわれるケースが増えているように感じます。先天性欠損とは、生まれつき永久歯の一部が作られていない状態のことです。この場合、乳歯が抜けてもその下から永久歯が生えてこないため、歯並びや噛み合わせに影響します。このようなケースでは、乳歯を虫歯にせず、長く使えるようにサポートしてあげることが非常に大切です。乳歯を健康に長く保つことで、将来の治療の選択肢が増えたり、治療が複雑にならずに済むことがたくさんあります。先天性欠損と診断された場合は、乳歯を大切にしながら、将来を見据えた計画を立てることが重要です。当院でも、お子さん一人ひとりの状態に合わせたサポートを行っていますので、ぜひご相談ください。

【院長コメント】

様子見の期限を明確に。手遅れになる前に信頼できる医院を

乳歯の歯並びについて、様子をみましょう、永久歯に生え変わるまで待ちましょうという情報をよく目にします。確かに、乳歯の歯並びの多くは成長とともに整っていきます。しかし、ケースによっては、早期の介入が必要だと考えています。

大切なのは、乳歯の時期は歯並びをきれいにするというよりも、良くない習慣がつかないように導く時期だということです。指しゃぶりをして出っ歯になったのを放置すれば、今度は下くちびるを巻き込んで、下顎を後方に押し込んでしまい、顎の成長にもよくありませんし、姿勢も悪くなります。良くない習慣は、良くないループを生んでいくのです。

一方で、乳歯の時期にひどい鼻づまりがあるお子さんに、口を閉じなさいとしつけるのは、厳しすぎるしつけになってしまいます。親子のストレスになってしまいますよね。今できることは何かを考えてあげることが、この大事な時期には必要です。

そして、症例によっては、すべて永久歯になるまで様子をみましょうが、放置してしまったことになり、反対咬合などでは骨格的な問題が大きくなって、手術をしないと改善できない歯並びになってしまうこともあります。

だからこそ、もし様子をみましょうと言われたら、いつまで様子をみるのかを明確にしてください。手遅れになってほしくないから相談しているのですから、真摯に答えてくれる先生に出会ってほしいと思います。保護者様も、お子さん本人も、信頼して通える医院に早く出会えることが、幸せにつながると信じています。

【監修】
みかみ歯科医院 院長 印藤 浩子
スタッフ紹介ページ

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